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剣道の理念
剣道は剣の理法の修錬による人間形成の道である。
剣とは?
剣道の稽古では、4本の竹を組み合わせた竹刀を使います。剣道では、その竹の刀を本当の刀(=剣)と同じように扱います。したがって、またぐことも剣先を床につけることも許されません。
理法とは?
剣道は、竹刀をただ振り回す格闘技ではありません。打突部位である面、小手、胴に、相手より早く竹刀の打突部を当てることを競うスポーツでもありません。相手と直接対峙する前から勝負は始まっています。どのような気構えで相手に臨み、打突部位を打つために、どこをどのように攻め、またどのタイミングで打ち出すのか、考えなければなりません。その上で、相手の打突部位を打突できるということが当然そうなるという理にかなったもの(=理法)でなければなりません。
人間形成とは?
剣道の修練を継続して行うことにより、礼節や誠実さ、人を敬う心など、人間として生きていく上で大切なものを身につけてほしいと願っています。ここでは、日常生活においても意識して取り組んでほしい五戒について記しておきます。
一 うそをついてはいけない
一 怠けてはいけない
一 やりっぱなしにしてはいけない
一 わがまましてはいけない
一 ひとに迷惑かけてはいけない
(日本剣道連盟範士九段 小川忠太郎述)
打突の好機
打突の好機は、攻撃のチャンスです。以下のような7つのポイントがあります。
(1)相手の動作の起こり頭(出ばな)
動きを起こそうとする瞬間をいう。
(2)受け止めたところ(受け止めたところ以外に隙が生じる)
受けに専念しており、更なる攻撃の機会である。
(3)技の尽きたところ(動作や技がおわったところ)
動作や技が終わって次の動作に移ろうとした瞬間をいう。
(4)居ついたところ(身心の緊張がゆるんだ瞬間、気持ちで圧倒されたとき)
攻防の動作中に瞬間的に対応動作ができなくなった状態。
(5)引きはな(退がるところ)
体勢を整えるため下がろうとするところ。
(6)息を深く吸うところ(息を吸うときは、相手の動作が止まる)
呼吸を相手に悟られると隙となる。
(7)体の崩れたところ
姿勢・動作が乱れ、体勢が整わないところ。
また逆に、自分が陥ってはいけない四戒というものもあります。
四戒
(1)驚(おどろき)
相手の動作にビビッて、驚いて構えを崩してはいけません。長時間正しい構えを維持できるようにしましょう。
(2)懼(おそれ)
一度相手を怖いと思ってしまうと、打突することもまともに判断することもできなくなります。怖いけれども立ち向かっていく気持ちを常に持ち続けることが必要です。
(3)疑(うたがい)
相手の気持ちや行動を疑う時があります。そのようなときはすぐに動いたり、反応することができなくなります。自分から仕掛け、誘い出し、相手の気持ちを確認しましょう。
(4)惑(まよい)
相手が何をするのか、または自分がどうしたらよいのか迷う時があります。そのようなときはすぐに動いたり、反応することができなくなります。普段の稽古を一生懸命行うことにより、自分の技に自信を持ちましょう。
剣道の勝負は技だけでなく、心の動きに支配される事が多いものです。このような状況に陥ってしまったら、なかなか打ち出すことはできません。体が止まり、相手に打たれてしまうことや引き出されてしまうことも多くなります。普段から強い気持ちを持ち、自分を信じることができるようになるまで稽古に励むことが必要です。
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